鳳林寺の仏像・石碑

御真言の出典は 「梵字大鑑」 種智院大学密教学会編  昭和58年5月31日
御真言についてはこちらもご覧ください。
名 前
場 所
解 説
写 真
本尊
延命地蔵菩薩
(地蔵菩薩)
本堂中央  地蔵菩薩は、仏教教理に基づいたものではなく、インドの信仰を核として成立したものである。もとは、インドの大地の神の一種で、財宝をつかさどる神であったとされる。貴金属・宝石のたぐいはまさに大地の蔵からとりだされたものであるといえるだろう。
 地蔵菩薩は、大地を象徴する菩薩であるため、地獄・閻魔信仰と結びつき信仰されていったようだ。
 延命地蔵菩薩は、特に長寿と息災をかなえてくれる地蔵菩薩とされる。
(参考:仏像はやわかり小百科 春秋社)

 平成23年3月修繕。

御真言 (地蔵菩薩)
おん かかか びさんま えい そわか
(オーン。ハ、ハ、ハ(笑い声)。希有なるものよ。スヴァーハー。)
震旦初祖圓覚大師菩提達磨大和尚
しんたんしょそ えんがくだいし ぼだいだるまだいおしょう
本尊左 だるまさま。だるまだいし。
インドから中国に禅宗を伝えた実在の人物。禅宗の初祖。

平成23年3月修繕。
大権修理菩薩
だいげんしゅりぼさつ
本尊右  もとは中国の船を守る神さまで、右手をかざしているのは海を行く船が安全に航海できるようにみまもるため。
 日本に入って、お釈迦さまから続く教えが途切れないでずっと続いていくように見守る神さまとなったとされる。

平成23年3月修繕。
子育弘法大師 本堂左  弘法大師とは真言宗開祖空海のこと。
 「子育て地蔵」というものは各地に存在するが、「子育て弘法」というのは珍しい。

舟薬師如来
(薬師瑠璃光如来)
本堂左  薬師如来は、「現在仏」であり、しかも現世利益を司る仏とされている。
 仏教では、私たち凡俗は、貪瞋癡(とんじんち=むさぼり、怒り、無知)の三毒におかされている重病人であり、薬師如来は私たちの病を治してくれる医者であるとされる。

(参考:仏像はやわかり小百科 春秋社)

裏面に
「当舟薬師如来ハ元文四年未正月紀元二三九九年新調昭和六年未二月大修繕ス鳳林寺禅明代元文四年正月ヨリ昭和六年一月マデ一百九十四年目ナリ時ニ人皇百十五代桜町天皇ノ御世ナリ将軍ハ八代吉宗公ナリ中ノ郷薬師堂安置佛也」
とある。
※元文4年は西暦1739年
元は鳳林寺薬師堂に安置されていたものを、鳳林寺本堂に移転した仏像のようです。

御真言
おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
(オーン。取り去りたまえ。取り去りたまえ。チャンダーリーよ。マータンギーよ。(我を守護したまえ)。スヴァーハー。)
不動明王 本堂左  不動明王は、大日如来の使者で、人々の煩悩を断ち切るため奔走しているとされる。
(参考:仏像はやわかり小百科 春秋社)

御真言
のうまく さんまんだばざらだん かん
(あまねき金剛尊に帰命したてまつる。ハーン)
梅花観世音菩薩
(観世音菩薩)
本堂左 観世音菩薩は、現世利益の霊験あらたかな菩薩であるとされている。
(参考:仏像はやわかり小百科 春秋社)

梅花観音は梅花流詠讃歌の守護をしている。
当寺は、静岡梅花観音霊場第35番札所です。

御真言 (観世音菩薩)
おん あろりきゃ そわか
(オーン。蓮華部尊(=観音)よ。スヴァーハー。)
弥勒菩薩像 本堂右  
 弥勒菩薩は、お釈迦さまの死後56億7000万年後にこの世に現れ、衆生を救済すると考えられています。
 片足だけ足を組み、右手を頬にあてて考えている、「半跏思惟(はんかしゆい)」というポーズをとっています。これは「いかにすれば衆生をもれなく救うことができるのか」ということを考えているのです。

 鳳林寺現住裕明和尚の発願により平成14(2002)年8月に安置されました。
 静岡の彫刻家前島秀章氏の作です。

御真言
おん まいたれいや そわか
(オーン。弥勒尊よ。スヴァーハー。)
出世大黒尊天
(大黒尊天)
本堂左
(子育弘法大師 右前)
大黒天は、ヒンズー教のシヴァ神の異名。
シヴァ神はヒンズー教では、恐ろしい神であるが、日本では、日本の神様である「大国主命(オオクニヌシノミコト)」の「大国」が「ダイコク」と読める事から混同・習合され、米俵に乗り福袋と打出の小槌を持つ姿となった。

厨子正面扉右 表「出世大黒尊天」 裏「開運守護 安産子育弘法大師」
厨子正面扉左 表「吉祥吉祥大吉祥」 裏「出世大黒尊天」

厨子左面 「昭和癸酉八年如意珠之日 初刀
厨子右面 「癸酉年初とを 五穀豊穣 商売繁盛 幸光と喜ばれて居」
厨子裏面 「維時昭和癸酉八年十一月二十日開眼師現鳳林禪明六十五和南 発願主 慈照庵佛種弘念法尼」
厨子天井 「佛師志太郡藤枝町白子区井出松之助 式(?)刀」
とある。

御真言
 おん まかきゃらや そわか
(オーン。大黒天に帰命したてまつる。スヴァーハー。)
 
弘法大師 本堂左
(子育弘法大師 左前)
真言宗開祖空海
薬師瑠璃光如来 本堂左
(舟薬師如来 前)
上記「薬師瑠璃光如来」参照
不動明王 本堂左
(不動明王前)
上記「不動明王」参照

「成田山」とある。成田山みやげか?
烏枢沙摩明王
うすさまみょうおう
本堂東司(トイレ) けがれを浄化することを誓願としておられる明王である。

御真言
おん くろだのう うん じゃく
(オーン。怒れるものよ。フーン。ジャハ。)
僧形文殊菩薩
(文殊菩薩)
本堂廊下
(開山堂 前)
文殊菩薩は智慧を司る菩薩とされています。
僧形のものは、通常、僧堂(坐禅堂)の本尊として安置されています。

御真言 (文殊菩薩)
おん しろきえん
(オーン。シロキエン。)
高祖道元禅師 開山堂 曹洞宗を開いた。永平寺の開祖。
太祖瑩山禅師 開山堂 曹洞宗を広めた。總持寺の開祖。
鑑禅慧亮大和尚 開山堂 鳳林寺の開山。桃原寺26世。
良巌活明大和尚 開山堂 鳳林寺三世。鳳林寺初住。これより以前は、他寺院の住職が鳳林寺の住職を兼務していた思われる。
弘法大師 開山堂 真言宗の開祖。空海。
書の名人だったといわれています。

温泉を探し当てたなど、各地に様々な伝説があります。
宗派を超えて信仰されている僧侶です。
誕生仏 開山堂 4月8日の花まつり(お釈迦さまのお誕生日)に、この仏像に甘茶をかけ、お祝いします。
くわしくはこちら。(鳳林寺が配布しているチラシより)

御真言 (釈迦如来)
のうまく さんまんだぼだなん ばく
(あまねき諸仏に帰依したてまつる。バハ。)
護法韋駄尊天 庫裏 玄関ロビー  ヒンドゥー教の神スカンダが仏教に入って仏法の護法神となったもの。シヴァ神と神妃パールヴァーティーの子とされる。
 仏教では、火葬された釈尊の歯を、俊足の悪魔が奪って逃げたのを、この韋駄天が追いかけて取り戻したとされる。
 伽藍を守る護法神とされ、日本の禅宗では厨房や僧坊を守る護法神として祀られる。

厨子裏面に
「昭和七年秋彼岸大吉祥之日
月光山鳳林寺什寶
護法韋駄尊天一体彩色
及外厨司新調
仏師志太郡藤枝町白子区井出松之助」
とある

仏像足裏に
「昭和五十四年九月吉日
鳳林寺賢明代」
とある。
毘沙門天 庫裏 玄関ロビー  仏教における天部の仏神で、日本では四天王の一尊として造像安置する場合は「多聞天」、独尊像として造像安置する場合は「毘沙門天」と呼ぶのが通例である。
 福の神として中世を通じて恵比寿・大黒天にならぶ人気を誇るようになる。室町時代末期には日本独自の信仰として七福神の一尊とされ、江戸時代以降は特に勝負事に利益ありとして崇められる。

御真言
のうまく さんまんだぼだなん べいしゅらばんだや そわか
(あまねき諸仏に帰命したてまつる。(とくに)毘沙門天に帰命したてまつる。スヴァーハー)
観世音菩薩 庫裏 玄関ロビー 上記「観世音菩薩」参照
大黒尊天 庫裏 玄関ロビー 上記「大黒尊天」参照
地蔵菩薩(中央)
毘沙門天(右)
大黒尊天(左)
庫裏 地蔵菩薩 毘沙門天 大黒尊天がひとつの厨子におまつりされており珍しい。

庫裏の鬼門の位置に安置されている。鬼門よけか?
烏枢沙摩明王
うすさまみょうおう
庫裏 東司(トイレ) けがれを浄化することを誓願としておられる明王である。

御真言
おん くろだのう うん じゃく そわか

(オーン。怒れるものよ。フーン。ジャハ。スヴァーハー。)
烏枢沙摩明王
うすさまみょうおう
新庫裏 東司(トイレ) けがれを浄化することを誓願としておられる明王である。
 静岡の粘土作家、ねんどゆうじさんの作です。

御真言

おん しゅり まり ままり まりしゅしゅり そわか
「不許葷酒入寺内」碑 山門前 多く禅宗の寺の門前に建てられている。
臭気の強い野菜は他人を苦しめるとともに自分の修行を妨げ、酒は心を乱すので、これを口にしたものは清浄な寺内にはいることを許さないということ。
延命地蔵菩薩 門前 上記「本尊延命地蔵菩薩」参照。
平成22(2010)年11月新調。
延命地蔵菩薩 庭園 上記「本尊延命地蔵菩薩」参照。
平成22年まで門前に安置されていたものを庭園に移転した。
銘に嘉永二己酉年(1849)
水子地蔵菩薩 門前  わが国独自のもので、起源がはっきりしないが、三途の川には賽の河原というのがあり、死んだ子供たちはここで親兄弟のために石を積んで塔をつくると、そこに鬼がやってきてその塔をくずしてしまう。そこに地蔵菩薩が登場し、自分が親代わりになって子供たちを救ってくれると考えられた。

 台座裏面に「昭和五十四年春彼岸」


(参考:仏像はやわかり小百科 春秋社)
西国三十三観音記念碑 門前 「延享四丁卯年
奉供養四国三十三所観世音菩薩
 十月十七日」

※延享4年は西暦1747年
三十三観音記念碑 門前 正面
「享保八
南無観世音菩薩供養塔
○月吉辰」

※享保8年は西暦1723年。鳳林寺内の石碑では最古。
六地蔵 門前  地蔵が六道のそれぞれに自らの化身を送って衆生を救済すると説かれることから六体の地蔵を祀ることが行われるようになった。
 六道とは、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天のことで、迷いが断ち切れず、煩悩に苦しめられる境涯を言う。仏法に目が開かない者はこの6つの世界を際限なく巡るとされる。
 平成13年秋、静岡県立大学学内報「はばたき」に「鳳林寺の美人地蔵」として紹介された。
(参考:地蔵・閻魔信仰便覧 斎々坊)
庚申塔 門前
庚申信仰についてはこちら。

正面
「齋潔孜○薄祭
 庚申卜日待鶏
 三○如塡視聴口
 準○佛門事不軽」
 (鳥の絵2羽 猿の絵3匹)
碑右面
「駿州有度郡中○郷村○民○○庚申日精進齋潔
 祭其神或期三十七年或誓一生祈○除災
 其期満則立○塔尊神供養蓋所以祭
 庚申未考佛門定知方○之事巳浮圖
 成而結衆若干請銘於○○信筆書繋之云」
碑左面
「正徳第三癸巳年十一月庚申日
 寓月江院台門叟誌○」

※ 正徳三年は西暦1713年。
 正徳3年に月江院にかりずまいをしている台門が誌すとある。
 「月江院」は鳳林寺の旧称「月光院」の事か。
 「台門」は鳳林寺に住していた記録がある。近隣の石蔵院3世、龍珠院開山、怡泉寺開山、江雲寺開山


御真言 (青面金剛童子)
おん でいばやきしゃ ばんだ ばんだ かかかか そわか
(オーン。天たる薬叉よ。捕らえたまえ。捕らえたまえ。ハ・ハ・ハ・ハ・ハ。スヴァーハー。)
道祖神
(如意輪観音)
門前  鳳林寺は「有度山」という山の中腹にありますが、この有度山の山奥に「平沢寺」という古刹があります。
 その平沢寺の近くにもそっくりの石仏があります。
 平沢寺の石仏も「道祖神」といわれていますが、現在では、平沢寺の位置を示す道標仏であり、「如意輪観音」ではないか、といわれています。

 平沢寺の石仏と全く同じお姿なので、この石仏も道標仏であり、如意輪観音なのでしょう。

 如意輪観音は、「如意宝珠」という思いのままに願い事をかなえてくれる珠を持っています。
 苦しみにうちひしがれた衆生がどこにいようとも、この如意宝珠がそこにころがっていって、ただちに衆生を救ってくれるそうです。

追記
 鳳林寺檀家漆畑氏によると、彼が幼少の頃、この像が頬を押さえている為、歯痛の仏さまだといわれ、歯が痛いときはこの仏さまに触れると歯痛が治ると信じられていたとのこと。(2002.12.01) 

御真言 (如意輪観音)
おん はんどま しんだまに じんばら うん
(オーン。蓮華尊よ。如意輪宝珠尊よ。輝きたまえ。フーン。)
不動明王 境内  上記「不動明王」参照。


 台座に「文化十四丁丑年 三月日祥」

※文化14年は西暦1817年
薬師瑠璃光如来 薬師堂
(熊野神社境内)
上記「薬師瑠璃光如来」参照
新駿河一国12薬師第8番の札所。
2体安置されているが、その理由は不明。
閻魔大王 薬師堂
(熊野神社境内)
こちら こちら
千手観世音菩薩 薬師堂
(熊野神社境内)
 漢訳の仏典でしばしば「千手千眼(げん)観音」とも呼ばれる。千の手の、その掌に1個ずつ眼があるというのです。千本の手と千本の眼で苦しみにあえいでいる衆生を救いとってくれるというわけです。
 (参考:仏像はやわかり小百科 春秋社)

御真言
おん ばざら たらま きりく
(オーン。金剛法尊よ。フリーヒ)
虚空蔵菩薩 薬師堂
(熊野神社境内)
 「虚空蔵菩薩経」によると、その神変(神通)によって、娑婆世界を浄土にかえることができ、また虚空蔵菩薩を念ずれば、憶持不忘(おくじふもう=絶対に忘れない)の力を得ることができると説かれています。
 (参考:仏像はやわかり小百科 春秋社)

御真言
おん ばざら あらたんのう うん
(オーン。金剛宝尊よ。フーン)
文殊菩薩 薬師堂
(熊野神社境内)
上記「文殊菩薩」参照
普賢菩薩 薬師堂
(熊野神社境内)
 文殊菩薩とともに、釈迦如来の脇侍として、釈迦三尊を構成しています。
 文殊菩薩が智慧を代表する菩薩であるのに対し、普賢菩薩は、行(修行)を代表する菩薩であるとされます。
 (参考:仏像はやわかり小百科 春秋社)

御真言
おん さん ま や さとばん
(オーン。汝は三昧耶なり。)
勢至菩薩 薬師堂
(熊野神社境内)
 観音と対になって阿弥陀如来の脇侍を果たしている。

御真言
おん さん ざん ざん さく そわ か 
(オーン。サン、ジャン、ジャン、サハ。スヴァーハー。)
大日如来 薬師堂
(熊野神社境内)
 大日如来は、密教の世界の中心にいる仏さまです。

御真言
おん ばざら だ と ばん
(オーン。金剛界(の主尊)よ。ヴァン。)
不動明王 薬師堂
(熊野神社境内)
上記「不動明王」参照
八幡大菩薩 薬師堂
(熊野神社境内)
 神道の「八幡神」(総本社:大分県宇佐神宮)が仏教と習合して発生した菩薩です。
 寺の守護神とされる。

御真言(本地垂迹において八幡神の本地仏は阿弥陀如来とされていることから、阿弥陀如来の御真言を紹介します)

おん あみりたていぜい から うん
(オーン。甘露の威光ある尊よ。運載したまえ。フーン。)
千手観世音菩薩 薬師堂前
(熊野神社境内)
上記「千手観世音菩薩」参照

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